AIランニングコーチの指示文を解説|なぜこの設定なのか

どうもHOSHです!
ランニングでAI使ってますか?
AIを自分専用のランニングコーチにする手順を書きましたが読んでいただけたでしょうか?
その記事で配ったプロジェクト指示は、コピーして貼ればそのまま動きますが、中身は3,000字ほどのルールの塊。
※ 手順記事はClaude版とChatGPT版があります。Gemini(Gem)版も別記事にする予定です。
しばらく使っていると、
「週2回までって書いてるけど、自分は週4回走れるんだけど」とか。
「ここの数字、変えてもいいのかな、、」とか。
そんな不満みたいなものが徐々に出てくると思います。
そこでこの記事では、あの指示文はどうしてあの内容なのか説明していきます。
読み終えたときに、どこを自分用に書き換えていいのか/どこは触らないほうがいいのかが判断できる状態になるはず。
そのままでもまったく問題ありませんが、もう一歩進んだ使い方をしたい方はぜひ読んでみてください。
指示文は3つの層でできている

中身は大きく3つに分かれています。
- 判定 … プランを作る前に、今の状態を確定させる部分
- 計画 … 週の中身をどう組むかの原則
- 分析 … 走ったログをどう読むかの手順
この順番自体にも意味があります。
たとえば判定を飛ばして計画から入ると、AIは「一般的にはこうです」という当たり障りのないメニューを返してきます。
逆に判定さえ通っていれば、多少ざっくりした相談でも噛み合った答えが返ってきます。
なぜこの順番?

週間プランを作るときは、必ず次の4つを順に確定させてから中身を書くこと。判定を飛ばして週構成を書き始めてはいけない。
順番は、故障の有無 → 走行可能日数 → レースまでの残り週数 → 直近の実績。
この並びの理由は単純で、後ろの判定は前の判定をひっくり返せないから。
故障中の人に「週5日走れるなら、こういう週の組み方が」と返しても意味がないですよね。
日数と残り週数の関係も同じ。
週2日しか走れない人に「レースまで16週あるので月間200kmを目標に」と言っても、前提から崩れています。
そしてプランの冒頭に、必ずこの1行を書かせることにしました。
今週:【○○期/週○日型/レースまで残り○週】
AIは結論をもっともらしく書くのが得意。(きっと経験ありますよね)
この1行さえあれば、読んだ瞬間に違和感に気づくはず。
これが指示文全体の基本姿勢。
書き換えについて
順番は変えないほうがいいです。
数字(何週で期分けするか等)は後の節で触れます。
ポイント練習は週2回まで

ポイント練習というのは、閾値走・インターバル・レースペース走・ロング走のことを指しています。
要するにきつい日。
ポイント練習は、どの日数でも週2回が上限。日数が増えても増やさない。増える分はイージーに充てる。
指示文では、ポイント練習に上限をかけています。
強度の高い練習は週2回程度までにして、残りは楽に走る——一般的なトレーニング理論で広く言われている考え方を、そのまま数字にしただけ。
これについては書いておかないと、増やしたくなるから。
週3日しか走れなかった人が週5日走れるようになると、増えた2日にも何か「意味のある練習」を入れたくなる。
この上限を設定してないで、AIに意味のある練習をしたいと言うと「余裕があるなら1回追加しても」と返ってきてしまいます。
そうして膝が痛くなったり、足底筋膜炎になったり、、経験ありませんか?笑
書き換えについて
週3回に増やすのは勧めません。
減らす方向(週1回にする)は、むしろ推奨されるケースがあります。
走行量による上限は、走れる日数より優先する
指示文には、日数とは別にもうひとつの上限があります。
| 直近1か月の走行距離 | ポイント練習の上限 |
|---|---|
| 〜60km | 週1回まで |
| 60〜120km | 週1〜2回 |
| 120km〜 | 週2回 |
週5日走れても月間50kmであれば、ポイントは週1回。ここを取り違えると故障する。
時間があることと、体ができていることは別。
走れる日数は、ライフスタイルで決まります。
仕事が変わった、子どもが手を離れた、そういう理由で急に増えることがある。
しかし、体のほうは急には変わりません。
月間50kmで走ってきた脚は、週5日走れるようになった翌週も、まだ月間50kmの脚のまま。
日数だけを見てメニューを組むと、ここがすっぽ抜けてしまいます。
書き換えについて
距離の区切り(60km/120km)は、自分の実態に合わせて動かして構いません。
ただし「日数より走行量を優先する」という関係だけは、上記の理由通りひっくり返さないほうがいいです。
調子が良い日ほど抑える

「もう少しできた」で終わるのが、故障せず継続する条件。設定より速く走れてしまった日は、次回の設定を上げるのではなく、まず「余裕度が上がった」と評価する。
速く走れたら、うれしい、うれしいから、次はもっといけるはず。
その流れを、指示文の側であえて止めています。
設定ペースの引き上げは「実績が設定範囲の上限を2〜3回続けて安定して上回ったときのみ」。
1回良かっただけでは上げません。
実例:4:48で走れてしまった日
6月のある日、22kmのペース走ロングをやりました。
前半14kmをEペース、後半8kmをMペース、という構成。
Mペースの設定は 4:55〜5:05/km。
ですが、実際に走ったのは 4:48/kmと設定より速く走れてしまいました。
条件はこんな感じ。
- 気温18℃・曇り
- 前半が向かい風、後半が追い風
- ジェルを買いそびれて、無補給
最後のやつは完全にわたしの落ち度。
実際のやり取りを少し紹介します。

1. まず環境要因を割り引いた
「追い風の助けもあったので割り引いて見る」と最初に断ったうえで、「無風換算だと、もう少し心拍は上がっていたかも」と補正してきました。
速く走れた事実を、そのまま実力として受け取らない。
2. ペースではなく心拍を評価した
収穫として挙げられたのは、速さではありませんでした。
14km走った後の脚で、Mペース域を心拍157で維持できたこと。
しかも、過去の「フレッシュな脚でのMペース10km=151bpm」と比較して、疲労が乗った状態で +6bpm に収まっている、という読み方をしています。
見ているのは同じ日の数字ではなく、前との差。
3. そのうえで、抑えた
設定より速く走ると負荷が上がって、終盤に削られます。次回は追い風でも設定ペースの上限(4:55〜5:00)で抑える意識を持つといいです。
褒めて終わりではなく、次回の抑制で締める。
「調子が良い日ほど抑える」という原則が、そのまま出力になっています。
わたしはこれに従って、次の週も設定どおりに走りました。(上げたい気持ちをぐっとこらえて)
ペース設定を上げたのは、もっと後(何回か続けて上回ってから)です。
書き換えについて
「2〜3回続けて」の回数は、好みで動かしてもいいと思います。
抑える方向のルールそのものを外すのは勧めません。
外すと、AIは速く走れた日を素直に褒めてきます。(耳障りのいいことしか言わないことありますよね)
気持ちはいいんですが、それをやるなら指示文を使う意味が薄い。
ロング18〜20km以上は補給を必ず入れる

さっきの22kmのくだりの続き。
「無補給だったのもあってか、Mペースのラスト2kmがかなりキツかった」
ロング走で18〜20kmを超える場合、途中の補給(ジェル等)を必ず計画に入れる。無補給での長距離は終盤の失速と回復遅延を招く。
この指示があるとどうなるか。
返ってきたのは、「無補給+ペース速め由来。補給があれば防げたキツさ」という切り分けでした。
「頑張りが足りない」ではなく「補給の設計ミス」として処理されています。
明確な指示が書かれていないと、AIは補給に触れません。
触れないまま「終盤きつかった」とだけ伝えると、返ってくるのは根性方向の話か、ペース設定を下げる提案になりがち。
補給についての他の項目も、同じ発想で置いてあります。
- 高強度の練習日は、走る前に糖質を入れる(空腹で高強度をやらない)
- 早朝で固形物が入らないなら、液体・ゼリー系で代替する
- レースの補給は、練習で試したものだけを使う。本番で初めてのものを提案させない
- 暑い時期は水分だけでなく塩分も計画に入れる
書き換えについて
距離については、自分の実態に合わせて動かして構わないと思います。(脂質代謝を高めたいとか、体感とか色々あると思うので)
ただし、消すと補給の話題がAIの側から出てこなくなるので、設定そのものは消さないでください。
ログ分析の1番目が「データ品質チェック」である理由

ウォッチの気温センサーの値は信用しない。体温や直射日光の影響で実際より大幅に高く出る。
なぜ気温センサーだけ名指しなのかは実際の計測から。
13本ぜんぶ高かった
2026年6〜7月の練習から13本を選んで、ウォッチが記録した平均気温と、気象庁が記録した札幌の同時刻の気温を並べてみました。
| 日付 | 時刻 | ウォッチ | 気象庁(札幌) | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 6/1 | 05:36–06:28 | 23℃ | 16.1℃ | +6.9℃ |
| 6/6 | 06:48–09:19 | 29℃ | 13.1℃ | +15.9℃ |
| 6/6 | 11:09–12:36 | 29℃ | 11.5℃ | +17.5℃ |
| 6/10 | 05:34–06:35 | 28℃ | 12.3℃ | +15.7℃ |
| 6/13 | 06:41–10:08 | 32℃ | 21.5℃ | +10.5℃ |
| 6/17 | 05:37–06:34 | 29℃ | 15.8℃ | +13.2℃ |
| 6/21 | 05:47–06:55 | 31℃ | 19.0℃ | +12.0℃ |
| 6/25 | 05:30–06:32 | 30℃ | 16.7℃ | +13.3℃ |
| 6/27 | 10:09–12:18 | 30℃ | 21.2℃ | +8.8℃ |
| 7/1 | 19:12–20:21 | 25℃ | 19.4℃ | +5.6℃ |
| 7/4 | 06:49–09:57 | 31℃ | 19.9℃ | +11.1℃ |
| 7/4 | 11:11–12:08 | 33℃ | 25.6℃ | +7.4℃ |
| 7/8 | 05:31–06:30 | 31℃ | 20.1℃ | +10.9℃ |
13本すべてで高く出ました笑
差は +5.6℃ から +17.5℃、平均で +11.4℃。実測に近づいた回が1本もありません。
おもしろかったのは、実際が寒い日ほど、差が大きくなるという傾向。
ウォッチ側の数字は23〜33℃の範囲に収まっていて、実際の気温が11.5〜25.6℃と大きく振れているのに、記録のほうは狭い範囲に固まっている。
気温が何度だろうと、20℃台後半から30℃台前半に寄っていく感じ。
これはCOROSだけの話?
わたしはCOROS PACE 3を使っています。
上のデータもすべてPACE 3で取ったログに記録されていた気温で、Garminなどと比較はしていません。
気になったのでGarminの公式のオーナーズマニュアルを見ると、
Your body temperature affects the temperature reading for the internal temperature sensor.
(体温が、内蔵温度センサーの測定値に影響します)
そのうえで、正確な値がほしいなら「時計を腕から外して20〜30分待つ」よう案内しています。
外さないと正確には測れない、とメーカー自身が書いています。
手首は、24時間ずっと発熱しているので、それは確かにそうだよなといったところ。
いちばん差が大きかったのは6/6の日中で、実際は11.5℃、ウォッチの記録は29℃。
では、この気温をそのままAIに渡すと、
「この日は29℃と暑かったので、心拍が高めに出たのは自然です」
——という、非常にもっともらしい分析が返ってきます。
実際には11.5℃なので、心拍が高かった理由は別。
寝不足かもしれないし、単に走りすぎかもしれない。本当の原因を探す機会が、そこで失われてしまいます。
だから指示文では、気温を判断材料にする場合は実際の気温を本人に確認するようにしています。
書き換えについて
方法は2つ。
- 時計を外して20〜30分置いた値と、走行中の記録を比べる(Garminの案内どおりの手順)
- 気象庁の「過去の気象データ検索」で、走った日時・地点の気温を引いて突き合わせる(今回わたしがやったのはこちら)
前者については面倒すぎてやる人がいないと思います。
後者は地点と日付を指定すれば1時間ごとの気温が出るので、ログの時刻と並べるだけ。(過去の気温も調べられます)
もし自分の機種の値が実際とよく合っているなら、指示文の該当行は緩めて構いません。
「気温センサーの値は信用しない」を「参考にしてよい」に書き換えれば、AIは暑さの影響をもっと積極的に見てくれます。
医師の判断を最優先

指示文の「絶対に守ること」に、AIは医療者ではない旨を明記しています。
痛みや故障の話題になったら、医療機関の受診を促し、診断もしないし、症状名の断定もしないことにしています。
AIは、聞かれたことに答えようとします。
「この痛みは何ですか」と聞けば、それらしい答えを返してきて受診が延びる。
その空白を作らないために、先回りして塞いであります。
書き換えについて
ここは本人が医療関係者でも無い限り触らないでください。(唯一の断言)
故障からの復帰段階について
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 荷重前 | 走行のプランは作らない |
| 2. ウォーク | 歩行のみ。20〜40分から |
| 3. ジョグ導入 | 歩走混合(ジョグ1分+歩き2分 × 5〜8セットなど) |
| 4. イージーのみ | イージーペース以下のみ。週3〜4回、1回30分まで |
| 5. ベース再構築 | イージー中心+週1回の流し。ロングは10kmまで |
故障したときの話。
痛みが引いた瞬間、故障前と同じメニューに戻したくなり、期間の焦りが乗っているぶん、いちばん飛ばしたくなるところですが2つの歯止めを置いています。
- 週間走行量の増加は前週比10%以内
- 故障前のペース設定を、復帰直後に適用しない
故障前に4:50/kmで走れていた人は、復帰後もその数字を基準にしがち。
復帰後のペースは、復帰後の実データで作り直すということにしています。
この部分については、わたし自身の故障もあって盛り込んでいます。(そのうち別記事にします)
書き換えについて
段階の中身は、体の状態と医師の指示に合わせて動かしてください。
ただし順序を入れ替えたり、段階を飛ばしたりするのは勧めません。
書き換えの可不可まとめ
書き換えていいところ
- 走行量の区切り(60km/120km)
- 補給の距離の閾値(18〜20km)
- ペース引き上げの条件回数(2〜3回)
- 期分けの週数
- 出力の形式(表がいい、箇条書きがいい、など)
このあたりは、自分の実態に合わせて動かしたほうが精度が上がります。
触らないほうがいいところ
- 医療に関する記述
- 漸増の上限(前週比10%以内)
- 復帰段階の順序
- 「日数より走行量を優先する」という関係
- 判定を先に行うという構造そのもの
共通しているのは、外すと故障に近づくということです。
終わりに
少し長くなってしまったので、ここまでたどり着いた方がいるか不安ですが、ひとつずつ見ていくと実はそんなに複雑ではないはず。
ちゃんとランニングをはじめてから気づいたのですが、初心者は自分の気持ちの良いよう好きに走ってもあまり成長できません。
なので、気持ちよく走らせてくれないようにAIによってあえて枷をはめてますw
そのうえで出たメニューをそのままこなして、できないときや、やり過ぎたときは正直に相談する。
成長の秘訣はこれしかありません。
もし、まだ指示文を使っていない方は貼るところからやってみませんか?
※ 下はClaude版とChatGPT版の手順です。Gemini(Gem)版も追って書きます。




